引き直し計算とは?
引き直し計算というからには、何かの基準を変えて(=引き直して)計算しなおすことですが、
それが何かというと借り入れ金利です。
別の言い方で分かりやすく言うと、
払いすぎていた利息を計算して、正真正銘の借金残高を割り出すことをいいます。
なぜ利息を払い過ぎていたのか?
業者にだまされていたとは言い切れないのですが、結果的に利息を払い過ぎていることがあります。
借金の金利には、「これを超えて融資してはいけないよ」という上限金利が
法律で決められています。
ところが、2つの法律で上限金利が異なるというゆがんだ状態が長く続いていました。
(利息制限法は18.0%※、出資法は29.2%)
※利息制限法の上限金利は、元本の金額によって違いますが、ここでは元本が10万円以上100万円未満の場合の上限金利で説明します。
貸す側の業者としては、当然、高い方の金利(出資法の29.2%)で融資するわけで、
僕らはそれが当たり前のことだと思って、高い利息を払い続けてきたという事実があります。
業者のかたを持つわけではありませんが、法律通り運用しなくても罰則がないために、
堂々と高い金利の融資が行われていたのが実態です。
最高裁のツルの一声
ところが、そのゆがんだ状態に待ったをかけたのが最高裁判所の判決です。
利息制限法の上限金利18.0%を超える部分は違法で、
金利の差額は本来、債務者が払うものではなく、
債務者の求めがあれば業者は返還しなくてはいけなくなりました。
しかも、過去にずっとさかのぼって適用されることになったので、
過払金(かばらいきん)返還という騒動が巻き起こることにつながりました。
(過払金についてはこちらのページで解説しています)
具体例で説明すると。
実際に計算してみると理解しやすくなると思うので、少し具体例を示してみます。
例えば、100万円を年利29.2%(出資法の上限金利)で借りて、
今現在の借金残高が80万円だとしましょう。
この場合、1年間借りっぱなしだと仮定すると、利息は292,000円になります。
これを利息制限法の上限金利18.0%で引き直し計算すると、利息は180,000円で、
その差額112,000円が払い過ぎている計算になります。
なので、借金残高80万円から払い過ぎの112,000円を引いた688,000円が、
引き直し計算後の本当の残高ということになります。
※分かりやすさを優先させて、利息は少し乱暴な計算をしています。
借金がチャラになることもある
ここで注目すべきことは、場合によっては借金が帳消しになることもあるということです。
上の計算では1年間の利息を前提にしましたが、もし、8年間、返済を続けていたとすると、
払い過ぎの金額は896,000円(112,000円×8年)になります。
そうすると面白い展開になるのですが、
払い過ぎた金額が借金残高を超えてしまうことで、借金が帳消しになります。
さらに言えば、借金残高で相殺できない96,000円は、
現金として戻ってくるということになります。
業者側はこの返還を拒否することはできません。
こういう事例は珍しいことではなく、7~8年以上の返済期間がある場合なら、
該当することが十分ありえます。
引き直し計算というのは、以上のようなことを指していて、
借金を大きく減らせる可能性を秘めている僕らにとってはプラスに働く手続きです。
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