個人再生手続きの流れについて
このページでは、個人再生の申立後、再生計画の認可決定に至るまでの、おおよその手続きの流れについて解説しています。
ほとんどは弁護士の方で対応してくれるので、すべてを知っておく必要はありませんが、ざっくりと全体感をつかんでみてください。
標準スケジュールは?
個人再生の手続きの標準的なスケジュールは、下の表のような感じになります。
申し立てから再生計画案が認められるまで、おおよそ半年程度かかります。
手続 |
申立日からの日数 |
申し立て | 0日 |
個人再生委員選任 | 0日 |
手続開始に関する個人再生委員の意見書提出 | 3週間※ |
開始決定 | 4週間(1か月)※ |
債権届出期限 | 8週間 |
再生債務者の債権認否一覧表、報告書(法124 Ⅱ・125 Ⅰ)の提出期限 | 10週間 |
一般異議申述期間の始期 | 10週間 |
一般異議申述期間の終期 | 13週間 |
評価申立期限 | 16週間 |
再生計画案提出期限 | 18週間 |
書面決議又は意見聴取に関する個人再生委員の意見書提出 | 20週間 |
書面による決議に付する旨又は意見を聴く旨の決定 | 20週間(5か月) |
回答書提出期限 | 22週間 |
認可の可否に関する個人再生委員の意見書提出 | 24週間 |
再生計画の認可・不認可決定 | 25週間(6か月) |
※給与差押えのおそれ等がある場合には、個人再生委員の意見を聴いた上、同委員の意見書の提出期限及び開始決定の時期を早めるものとする。
上の表の内容を少し補足説明しますので、
より詳しく知りたい場合は、続けて読んでみてください。
申立てから債権調査まで
個人再生手続きを利用する場合は、まずは弁護士または司法書士に依頼をして
裁判所に申立をします。
そうすると、個人再生委員といって手続きを監督する人が選任されます。
(個人再生委員が選任されない場合もあります)
その後、申立後1週間以内に個人再生委員(再生委員が選任されない場合は裁判官)
と面談をして、その後の月々の積立額を決定します。
そして、1度目の予納金(積立金)の支払いがあってから、
再生委員が個人再生手続きを開始するかどうかの意見を裁判所に提出し、
その意見を受けて、裁判所が個人再生手続きの開始決定を出します。
再生委員が選任されない場合には、
これらの手続きなしに個人再生の申立後書面審査のみで、
個人再生手続きの開始決定が出ることもあります。
個人再生手続き開始決定までには、申立後だいたい1ヶ月程度かかり、
その後、各債権者に対して債権調査が行われます。
債権調査のために2ヶ月くらいの期間が設けられるので、
債権者はその間に債権調査票を提出することになります。
債権調査後再生計画案提出まで
債権者らからの債権調査票が返ってくると、
申立人(弁護士)は債権調査の結果を認めるかどうかを決定します。
もし異議があれば異議を提出します。
異議が出た場合には、債権者の申立により債権の評価が行われます。
これらの手続きを経て、各債権者の持つ債権額が決定されます。
そして、決定した債権額をもとに、
申立人(弁護士)が再生計画案を作成して裁判所に提出します。
債権調査票が返ってきてから再生計画案が提出されるまでには期限が設けられていて、
再生計画案が提出されるのは、申立後だいたい4~5ヶ月後くらいの時期です。
再生計画案の認可決定まで
申立人から再生計画案が提出されると、
裁判所はその再生計画案の内容を認可してもよいかどうか、各債権者から意見聴取をします。
通常この意見聴取は書面のやりとりによって行われます。
ちなみに、この書面による意見聴取手続きに付する決定のことを
「書面決議に付する決定」と言います。
意見聴取の期間はだいたい1ヶ月弱程度です。
この間、過半数の数の債権者や、過半数の債権額を有する債権者から
異議が出なければ再生計画案は認可されます。
再生委員が選任されている場合には、再生計画案の認可決定が出る前に、
再生委員が再生計画を認可するかどうかについての意見書を出します。
裁判所はこの意見書も参考にして再生計画の認可または不認可を決定します。
以上が個人再生申立後、再生計画認可決定までのおおまかな手続きの流れです。
その期間は、全体としてだいたい6~7ヶ月くらいかかることが多いです。
実際の返済は認可決定後、約1か月後に始まります
また、再生計画は、認可されてもすぐに効力が発生するわけではありません。
再生計画が効果を持つには、認可決定後確定するまで待たないといけません。
再生計画の認可決定が確定されるまでには、認可決定後だいたい1ヶ月程度かかります。
なので、個人再生手続きでは申立後再生計画の認可決定が確定するまで、
だいたい8ヶ月くらいかかることが多いです。
再生計画の内容に従った支払いが開始されるのは、
再生計画の認可決定が確定した月の翌月からになります。
ですので、標準スケジュールで言うと、
申し立てから約8か月後に返済が始まることになります。
以上が、だいたいの個人再生の手続きの流れです。
ただ、個人再生委員が選任されるかどうかなど、各地の裁判所の個人再生手続き運用方法によって、
手続きの流れや要する期間は多少異なってきます。
自分の住んでいる地域の運用について具体的に知りたい場合には、
弁護士による法律相談を受けて、質問してみると良いと思います。
ところで、「全体感はわかったけど、自分は何をすればいいの?」という場合は、
その点にフォーカスして解説している「個人再生手続き中に本人がすることって何?」
のページを読んでみてください。