任意整理のメリットとデメリットは?
このページでは、債務整理手続きのひとつである任意整理のメリットとデメリットを解説しています。
任意整理を行う場合に最低限知っておきたい内容なので、ぜひチェックしておいてください。
任意整理のメリット
任意整理は、他の債務整理の方法(個人再生、自己破産)よりも手続きが簡便で、
利用されるケースがもっとも多い手続きですが、メリットとして3つあげることができます。
- 利息支払いをカットできる
- 債権者の対象を選べる
- 手続きが簡便で利用しやすい
それぞれのメリットについて、少し掘り下げて説明したいと思います。
利息支払いをカットできる
一つ目のメリットは、将来利息や経過利息をカットして、
借金の支払総額をかなり抑えられるということです。
任意整理では、債権者と直接交渉をして借金額や支払い方法を話し合うのですが、
弁護士介入後、支払い開始までの経過利息や合意後の将来利息の支払いについて
カットしてもらえることが多いです。
特に、将来利息についてはほとんどのケースでカットしてもらえます。
通常、消費者金融などからの借入金利は、標準金利でも年18%と高金利なので、
その利息がすべてカットされると、借金の支払総額が大幅に抑えられることになります。
例えば、100万円を年利18%で借りると、
ざっくり計算しても1年間で18万円の利息支払いが発生することになるので、
これがカットされる、されないの違いは、雲泥の差があります。
このように、利息をカットすることによって借金の支払総額を大きく抑えられる点は、
任意整理の大きなメリットの一つです。
債権者の対象を選べる
二つ目のメリットは、借金整理をしたい債権者を選べるという点です。
「債権者を選べることが、なぜメリットなの?」と思うかもしれませんが、
人によってはそれが重要な意味を持ってくることがあります。
というのも、個人再生や自己破産では、すべての債権者を平等に取り扱わねばならず、
特定の債権者を手続きから外すことはできません。
それに対し、任意整理では、自分の都合で整理したい債権者だけを選んで
整理することが認められています。
例えば、身内の人に保証人になっている場合、その債務を整理の対象にしてしまうと、
自分は楽になっても、その保証人に迷惑をかけてしまうことになります。
また、公務員の人であれば、公務員共済組合から借入をしていることもありますが、
債務整理の対象に含めてしまうと職場に知られてしまうことがあります。
そういう事情がある場合は、特定の債務だけを対象から外すことのできる任意整理は、
とても重宝になります。
手続きが簡便で利用しやすい
三つ目のメリットは、手続きが比較的カンタンで利用しやすいということです。
任意整理は、個人再生や自己破産のように裁判所を介することがなく、
直接債権者と交渉する手続きなので、資料や書類が膨大になることはありません。
そのため、比較的自分で取り組みやすい手続きとも考えられます。
また、弁護士に相談したいと思う場合でも、
他の債務整理手続きより弁護士費用が低めになっているので、
費用に悩まず相談できるということも特徴の一つです。
任意整理のデメリット
デメリットとして取り上げるほどのことはあまりないのですが、
あえてあげるとすれば、以下の2点になります。
- 借金総額が減らしにくい
- 信用情報に事故情報が記録される
借金総額が減らしにくい
一つ目のデメリットは、個人再生や自己破産と比較すると、
借金総額が減らしにくいという点です。
任意整理は、文字通り任意に債権者と交渉をして合意する手続きなので、
債権者側もかんたんに譲歩してくれません。
利息制限法を超過した金利での取引があれば、
その差額を取り戻すことで借金を減額することは比較的かんたんですが、
それがないと大幅な借金額の減額は難しいです。
借金額が多額になっている場合などには、任意整理では整理しきれないことが多いです。
そのような場合には、個人再生や自己破産などの他の手続きによって、
借金を減額したり免除してもらうことを検討する必要が出てきます。
信用情報に事故情報が記録される
債務整理手続きのすべてに共通することなので、任意整理に限ったデメリットではありませんが、
任意整理手続きをすると、個人信用情報に事故情報として記録されることになります。
いわゆるブラックリストに載ることによる影響をうけることになり、
住宅ローンを組めなくなったり、自分名義でクレジットカードを作成することができなくなります。
そして、この状態は手続き後だいたい5~7年程度続きます。
個人再生や自己破産を含め、債務整理を行うと信用情報に傷がついて、
一定期間、信用が裏付けになる取引はすべてできなくなるということは、
知っておかないといけない点です。